この詩は誰のもとへ

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恋次と別れてからは、恋次と出会う前のような生活を送っていた。

一人で登校し休み時間はすぐに屋上へ、詩を書いたり眠ったりぼーっとしたりしている。

お昼も一人で食べている。


ただ違うのは、時々ルキアちゃんが一緒にいてくれることだ。



「そういえば七海、恋次はどうした?最近はあやつと一緒ではないな」

『……別れた』

「別れた!?」

『うん』



お昼休み、ルキアちゃんと屋上でお昼ご飯を食べていて訊かれた。

隠すことでもないしルキアちゃんは大切な友達だから話そうと思った。


別れた経緯(いきさつ)を話すとルキアちゃんはわしゃわしゃと私の髪を撫でた。



「恋次は、」

『……?』

「七海をまだ好きだと思う」

『うん』



ルキアちゃんも、一護みたいに大丈夫だと言ってくれた。

その後ルキアちゃんと教室に戻ったものの、私はまた屋上へ行って五限はサボった。


屋上の更に上にのぼって寝転んで詩を書こうと考えたけれど何も思い浮かばなかった。

結局私は、その時間を寝て過ごした。


放課後になって一護と一緒に学校を出た。

本当に恋次と出会う前に戻ったみたいだ。



「七海、大丈夫か?」

『うん、大丈夫』

「恋次に話しかけてみろよ」

『……うん。でも、』



何処からか漂ってくる鯛焼きの匂いに足を止めた。

買いに行こうかと迷ったけれど、行かなかった。

何となく今鯛焼きを食べると泣きそうな気がした。



「でも?」

『また突き放されるのが怖くて』

「大丈夫だって、恋次、まだ七海を好きだろ。やり直せよ」

『そう、だね……。だけど、きっと私じゃなかったんだよ』



そこからは私も一護も何も話さなかった。

家の前でまた明日と言って別れて、私は家の中で泣いた。




そんな日が一ヶ月程続いた。

恋次と話さない生活はとても淋しくて……つまらなかった。






(2011.03.12)


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