記念企画夢
□俺だけの妹
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真白は、知ってると思うんだ。
俺と血が繋がってないってこと。
真白は昔から、みんなの前で感情を表に出すことは滅多になかった。
だからこそわかる。
真白は知っているだろうって。
俺はいつも綺麗な女を見つけては“ストライク”って言う。
だから周りから女たらしだとか色々言われる。
俺は、好きでやってるわけじゃない。
それをやる本当の理由は、真白に……。
ヤキモチを妬かせたいから、ってのが理由。
「ストライクっ!」
『……万年発情兎』
綺麗な女を見つけて、俺がストライクと言ったすぐあとに、真白がいつもの台詞を吐き捨てるように言って、俺の背中に回し蹴りを入れた。
「ッ?!痛いさ真白!なにするんさ?!」
『あ、ごめんごめん、兄ィニィ。ちょっと足が滑っちゃって』
「真白、ボケるのもいいけど、たまには俺の体のこと気遣って欲しいさ」
『大丈夫でしょ、兄ィニィは。なんだかんだ言っても、私の蹴りなんて痛くなさそうだし』
しばらく歩いて、少し時間が立って、俺の部屋。
真白と二人きり。
俺も真白もベッドの上に並んで座る。
いつものように、少し隙間を空けて。
『兄ィニィ』
「どうしたさ、真白」
『兄ィニィは私のこと、好き?』
一瞬意味がわからなくて、真白の方を向いた。
真白は前を向いて壁の方を見つめていた。
どうしてそんなことを訊くのか。
真白が言うのはどういう“好き”なのか。
頭の中でそんな疑問が浮かんだけど、なんとなく理由はわかった。
『私はね、兄ィニィのこと好きだよ。私たち……血の繋がらない兄妹、なんだよね』
「やっぱり真白、知ってたんさね」
『うん。兄ィニィは知ってるってことも知ってた。兄ィニィは、私のこと……』
ずっと壁の方を見つめたまま話す真白の顔を、グイッと俺の方に向けて、キスをした。
「好きとか大好きとかじゃなくて“愛してる”さ」
唇を離して真白をぎゅっと抱きしめて耳元で囁くと、真白は耳まで真っ赤になった。
それが可愛くて、真白を抱きしめる腕の力を強くした。
思ってた通り、真白は知っていた。
俺と血の繋がらない兄妹だってこと。
あのあと、真白にどうして綺麗な女に“ストライク”と言うのか訊かれて、理由を答えると、また真白は真っ赤になって、俺が思ってる以上に妬いてるからもうやめろと言われた。
俺と付き合いだしても、真白は相変わらず、みんなの前では感情を表に出さなくて、俺といるときだけ感情を表に出した。