記念企画夢

□これは運命
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あれから、私と晋助が出逢ってから、何年の月日が流れただろう。


あの日から私と晋助は、いつも一緒にいた。

一緒に戦ったし、一緒に酒を飲み交わしたし、一緒に眠ったりもした。



『晋助』

「なんだァ?」



私は振り向いた晋助に、短いキスをした。

なんとなく、理由もなくただキスがしたくなったから。


唇を離そうとすると、晋助は離させてはくれなくて、次第に深くなっていった。



「逃げたいなんて言うんじゃねェぞ?」

『言わない。言いたくない』



逃げるとか此処が嫌だとか、言いたくなんてない。

誰に言えと命令されても、絶対に言わない。

なにがなんでも。


だって私には、晋助しか居場所がないから。



『晋助も、』



私がそこまで言って晋助のほうを見ると、キスをされて言葉を遮られた。

晋助は、角度を変えては何度も浅いキスをしてきて、私に続きを言わせてはくれない。



「当たり前ェだ。俺には真白が必要なんだからな」

『……うん』



私が言いたかったことは、晋助にバレていた。

いつもそうだ。

私が言おうとすること全てを晋助は知ってるんだ。


私と晋助は、酒を持ってデッキに出た。

空を見上げると、其処には綺麗な三日月が浮かんでいた。


私たちは何も言わずに、互いに酌をして、同時に酒を飲み干した。

晋助と飲む月見酒は、やっぱり一番美味しい。



「真白」



呼ばれて晋助を振り返ると、またキスをされた。

今飲んだ酒の味がした。

だけど何故か、なんとなく甘い味もして。

不思議な味に思えた。


きっと、晋助だけの味なんじゃないかって思った。



「なァ、真白」

『わかってる。絶対、約束する』



このときだけ、何故か晋助の言いたいことがわかった。

私も同じことを思って、考えたいたからだろうか。




――真白

そうやって、私の名前を呼んでくれることも、キスすることも、一緒に酒を飲み交わすことも、話をすることも、きっと全部、私たちの運命なんだ。

運命以外の何物でもないと、私は思ってる。

私たちが出逢えたのもまた、運命の一つ。


私たちの運命はたぶん、私が十五歳のときから、動き始めていたんだ。






(2009.03.06)


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