記念企画夢
□毎日が楽しかった
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越前くんに、テニス部のマネージャーをやらないかって誘われた。
テニスのことなんて全然知らないから、最初は断った。
とっても嬉しかったけれど。
でも越前くんが、知らなくても大丈夫だと言って、何度も誘ってくるから、結局私は承諾して、マネージャーをすることになった。
先輩のみなさん方がとっても優しくて面白くて、私はすぐにテニス部に馴染むことが出来た。
レギュラー入りしたことある先輩たちは、飛び抜けてテニスが上手だ。
それにとってもかっこいい。
「お疲れ真白」
『あ、越前くん、お疲れ様です!』
越前くんに話しかけられた日から、毎日がとっても楽しくなった。
今までとは見違えるくらい。
友達にも、最近前より明るくなったねって言われた。
越前くんは私の仕事が終わるまで待っていてくれて、一緒に帰った。
途中までは家の方向が一緒で、マネージャーになった日からは毎日一緒に帰ってる。
「ねぇ」
『ん?』
いつも他愛もない話をしながら、帰路を歩く。
ただそれだけのことなのに、家に帰ると頬が緩む。
とっても嬉しくて、私、どうかしちゃったみたい。
「リョーマでいいよ」
『ふえ……?』
「だから、名前、呼び捨てでいいって」
『え、そ、そんな呼び捨てだなんて……!』
突然だった、そう言われたのは。
今まで男の子の名前を呼び捨てにしたことなんて、一度もない。
「俺だけ名前で呼んでるのも、何か変でしょ?」
『それは、そうだけど……』
「じゃあ真白も、リョーマね。ほら、言ってみなよ」
『えっと、りょ、リョーマ、くん……』
心臓壊す気ですか越前くん!
越前くんが隣にいるだけで心臓がうるさくなって、更に私のこと名前で呼ぶから今にも心臓破裂しそうなのに!
それなのに越前くんのこと名前で呼んだら、私の心臓どうなっちゃうことか……!
「ダメ。リョーマ」
『りょ、リョーマ……』
恥ずかしくって小さな声で言うと、越前くんはもうちょっと声大きくって注文をつけてきた。
ほんの少しだけ声を大きくして名前を呼んでみる。
あんまり変わってないような、気がするけれど。
「よく出来ました」
越前くんはそう言って、私の頭をくしゃくしゃっと撫でてくれた。
それがとってもとっても嬉しくて、ありがとうと呟いた。
越前くんに聞こえたかどうかはわからない。
だけど越前くんは、真っ赤な顔をしているであろう私をぎゅっと抱きしめた。
最初は何が起こってるのか、全然わからなかった。
だけど少しして、越前くんに抱きしめられてるんだってわかると、意外と落ち着いていられた。
ただただ、幸せを噛み締めるばかり。