私たちを取り囲むように敵が辺りに散らばる。数は最早わからず多いことだけしか判別出来ない。自然と私と晋助は背中合わせになり、互いに互いを委ねる。ぐっと柄を握る手に力を込めて敵に神経を集中させた。
「真白」
『何?』
「何か言っておきてェことはねェか」
『言っておきたいこと……』
鬼兵隊としてやってきたけれど、仲間は全員死んだ。つまり鬼兵隊には私と晋助しか残っていない。また子も武市も万斉もみんな戦死だ。それほどこの戦いが激しく厳しいものだったということを示している。だけど、
「俺ァねェな」
『うん、私もない。だって、』
「俺も真白も必ず、」
『生きてまた会えるから』
負けるわけにはいかない。死んでしまっては意味がない……それに何より、死後の世界などという不確定なものに頼るなんて私には出来ない。きっとそれは晋助も同じ。私と晋助は同時に地を蹴り敵の中へと誘われていった。