脱色
□Are you afraid of time?
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怖い。
“それ”は怖い。
こんなの私だけかもしれない。
だけど、怖い。
“それ”は恐ろしい。恐ろしすぎる。
何故“それ”はあるのだろうと、何度も考えたことがある。
何度も神を怨んだことがある。
何故逆らえぬのだと、何故止まらぬのだと、何度も思ったことがある。
逆らえればいいのに、止まればいいのにと、何度も何度も、星の数程願ったこともある。
昼間は怖くないのだけれど、夜になると怖くなる。
九番隊隊舎内。
ついさっき残業を終えて、ソファに倒れ込んだところだ。
彼はまだ終わっていない様子。
ふと外を見てみると、意外にも真っ暗だった。
そろそろ九時半になる頃だろう。
少しお茶が飲みたくなり、私はソファから立ち上がって給湯室へ行った。
修兵もいるかなぁと思って、二つ用意しようとしたのだけれど、いらなかったときのことを考えて一つしか用意しなかった。
『檜佐木副隊長』
「あ?おぉ、真白か。どうした?」
『お茶を煎れたのですが……飲みます?』
「おっ、流石真白。気ぃ利くじゃねえか。そこ、置いといてくれ。もうすぐ終わると思うから、もう少し待っててくれな」
『はい!』
自分の分のお茶を煎れて、ソファでお茶を飲みながらくつろいでいた。
自分だけ和んでいるのも修兵に悪い気がしたけど、やっぱり仕事のあとは和むっきゃないから和んでいた。
「真白」
『ん?あ、お疲れ様です、檜佐木副隊長』
「おう。真白こそご苦労さんだったな。もう敬語取っていーぞ」
『うん』
ちょうどお茶を飲み終わった頃、修兵は仕事が終わったようで、私の隣に座った。
「なあ真白」
『ん?』
「今日真白ん家に泊めてくんねーか?」
『今日?』
「無理、か?」
『ううん、全然いいよ』
「サンキュ」
私たちは少しの間、ソファに座って話をしていた。