脱色

□Answer is you!
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告白して、真実を知ったあの日から、ずっと気になっていたこと。

それを今訊こう。

疑問を解決しよう。




あの日からずっと気になっていたこと。

それは、どうして海燕さんは、私が海燕さんを好きって知っていたのか。

ルキアが教えたってのが一番ありそうだけど……。



『海燕さん!』

「どうした?真白」

『一つ、訊いてもいいですか?』

「おう」



ルキアはそんなことするような子じゃないっ!
人の秘密を、勝手に誰かに言ったりしないはずだ。

例えそれが、命令だったとしても。



『どうして私が海燕さんを好きって知ってたんですか?』

「朽木に訊いた」



ルキアに……!?

あっさりと海燕さんは言ってのけた。

私は驚くばかり。



「冗談だって」

『嘘、ですかっ!?』



海燕さんが笑う。

あぁ、やっぱりかっこいい。

きっと私は、志波海燕中毒で、志波海燕依存症だ。



「朽木には訊いてみたけど、教えてくれなかったんだよな」

『じゃあ何故……』



よかったと、心の中で一人安心する。

ルキアは言う子じゃないと思ってた。

不意に、海燕さんにキスされた。

頬に熱が集まってくるのがわかる。



「真白が寝言で言ってるのを聞いたんだ」

『私の、寝言!?』

「真白、よくソファで寝てるだろ?」

『はい』



記憶の糸を手繰りよせてみる。

ソファで寝てることの方が多いんじゃないかってくらい、その記憶は沢山あった。

私たち以外誰もいない執務室のソファに、二人で並んで座る。



「名前呼ばれたと思ったら、いきなり“好きです”って言うから、あんときは焦ったぜ」

『……っ』



私はただ驚くばかりだった。

確かに、何度も海燕さんの夢は見たことがある。

だけどまさか、想いを口にしていたなんて……。

何度も瞬きをしながら海燕さんを見ていると、またキスをされた。

一瞬のことだったから、目を閉じる暇なんてなかった。



「ま、いーじゃねえか」



ニカッと笑って、海燕さんは言った。

何度見てもやっぱりかっこいい。

なんて考えていると、右手で腰を引き寄せられた。

また頬に熱が集まる。



「結果的に、こうしていられるんだからよ」

『……そうですねっ!』



私が笑うと、海燕さんは私の頭をくしゃくしゃっと乱暴に撫でて、三度目のキスをした。

しばらくの間、執務室には甘い空気が流れていた。






(2009.08.26)


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