今日は依頼もなくて暇だ。
誰か来るかもしんねェけど。
新八は相変わらず家事とかやってやがる。
神楽はソファに寝転んで酢昆布食べてらァ。
茜はソファで昼寝なんてしてる。
いつものように椅子に座っていると、チャイムが鳴った。
それに新八が出る。
玄関の扉が開いた音がすると、少しして閉まる音が聞こえた。
依頼人だろうか。
チャイムが鳴ったことで目が覚めたのか、茜が起き上がった。
『誰か来たん?』
「ん、あァ。今新八が行ってる」
俺の傍まで来て茜は訊いた。
誰が来たのかはまだわかんねェ。
「銀さん、姉上です」
「姐御ォォ!」
「あら神楽ちゃん。久しぶりね」
「会いたかったアル姐御ォォ!」
「銀さん……そちらの子はどなた?」
志村姉弟がリビングに現れた。
姉の方を見ると、茜は俺の後ろに隠れた。
そんな茜を見つけてお妙は言う。
「こいつか?こいつァ『燈夜李、茜……です』
「あらら珍しい」
「茜ちゃん、ね。私は志村妙。新ちゃんの姉よ。よろしくね」
『よろしく、お願いします』
珍しく自分から名を名乗った茜。
俺の後ろにいるのは変わらねェ。
「茜……どうした?」
『え?』
「怖くねェのか?」
『怖いけど、神楽ちゃんがすごい慕ってるし、大丈夫かなって思って……』
「ま、あいつも大丈夫だ。茜に危害を加えるような奴じゃねェ」
『うん』
自分で勇気を出してみた、ってところか。
頑張ったじゃねェかよ。
「茜ちゃん、こっちへいらっしゃい。一緒にハーゲンダッツ食べましょう」
『……はい!』
茜は神楽たちのもとへ行った。
ハーゲンダッツを食べるために。
穏やかだ。穏やかすぎる。
こうも穏やかだと、高杉がいつ現れるか心配になる。
平和ボケするのもいいけど、戦闘にも備えておかないといけねェ。
……まァでも、平和であることが一番いいけれど。
何も起こらねェ。高杉が来ねェ。
それでいいし、それがいい。
だけど思えば、近々祭りがあった気がする。
祭り好きの高杉が、この情報を知らねェわけがねェ。
平和に酔いしれろ。
酔いしれたらいいんだ。
平和ってのァ、長続きしてくれねェもんらしいから。