茜は、祭りが初めてだと言っていた。
会場に着いたときは、人と夜店の多さと明るさに目を丸くしていた。
だけど夜店を廻るうちにだんだんと、茜の目は、キラキラしてきた。
自分ではなにも買わなかったし、買って欲しいとねだりもしなかった。
けど、確かに楽しんでいた。
そのときの笑顔は、今までで一番可愛かった。
――この祭りは結構でかい祭りだ。
高杉が来ねェはずがねェ。
そう予測して、茜に俺から離れるなと言った。
茜は、素直に聞き入れてくれた。
……あともう少しで、花火が打ち上がる時間だ。事態は悪化する?