万事屋メンバープラス一人で祭りを楽しんでいた。
と言っても俺は少し別だけど。
茜はわたあめとか、フライドポテトとかカキ氷とかを食べたり、店の人に少し怯えながら、だけど、スーパーボールすくいとかをしたりしていた。
「もうそろそろ花火、上がるんじゃないかしら」
「そうですね、移動しましょうか」
志村姉弟が言う。
俺らは人が沢山集まる夜店の並びから、場所を移動した。
毎年見ている絶好の花火スポットへと。
其処はほとんど誰もいない。
その上、花火が綺麗に見える。
だからから花火を見るのにいい場所だ。
その場所に移動して少し話をしていると、ヒュルルルルルーパァァンという、花火独特の音が聞こえてきた。
その音とともに、空が明るくなった。
『うわぁ、綺麗……。妙ちゃん、あれが花火?』
「ええ、そうよ」
花火が次々と夜空に咲いては散っていく。
夜だってのに、空が明るい。
『銀時!花火むっちゃ綺麗やな!』
「そうだな」
『来年も、このメンバーで絶対来よな』
「ああ」
茜は祭りと花火が至極気に入ったらしい。
目を輝かせながら花火に見入っている。
「茜」
『ん?』
「初めての祭りはどうだったよ?」
『むっちゃ楽しかった!花火も綺麗やったし♪』
「そりゃァよかったぜ」
『うん!』
祭りも終わり、花火も全部打ち上がった。
その帰り道。
茜に問うと、すっげェ明るい声で答えが返ってきた。
「銀時んとこの女……茜か。ククッ、これからが楽しみだぜ」
俺らが楽しく話をしながら帰っている最中のこと。
とある路地で高杉が、俺らを見てそんなことを呟いたなんて、誰一人として、知らなかった。
祭りだったってのに、高杉が来なかった。
珍しすぎる。
どういう風の吹き回しなんだろう。
高杉が祭りで暴れなかった。
それは裏を返せば、これから酷く暴れるということに繋がる。
今まで以上に警戒しないといけねェ。
茜のことだから、一人で外を歩くなんてしねェだろう。
けどなにかあってからじゃ遅い。
先に注意しておかねェといけねェ。
一人で出歩くなと。
事態は悪化する?……事態は、悪化しちまう。
何故かこれから、そうなることの予想がつくんだ。