あたしが退院してから、何日経ったんやろう。
たぶん一週間くらい経った頃、万事屋に総悟が来た。
総悟は退院祝いに、あんみつを買ってきてくれた。
そのあんみつはむっちゃ美味しくて。
「旦那ァ、ちょいと茜借りていきやすぜ」
『行ってきます、銀時』
「あァ」
総悟に、話したいことがあるって言った。
そしたら、総悟の行きつけのお店に行くことになった。
あたしにとっても、その方が心置きなく総悟に相談出来る。
総悟が連れてきてくれたところは、万事屋からちょっと歩いたとこにある甘味処。
何でも注文して下せェ、って総悟は言う。
だからあたしは、少し高めのパフェを注文した。
「話ってのァ何でさァ?」
『うん、あんな……』
あたしは総悟に、あの感情のことを話した。
銀時とおったら出てくる、あの感情のこと。
パフェは途中で届いて、総悟に話をしながら食べた。
銀時に会いたいって思ったり、銀時の声聴きたいって思ったり、銀時とおったらドキドキしたり、時々、胸がきゅぅって締め付けられて、苦しくなったり。
とにかく、銀時に関することを、全部話した。
「……それって、」
あたしの話を聞き終わった総悟は、ちょっと考えてから口を開いた。
それって?
そう訊き返すような感じで、あたしは総悟の目を見た。
「旦那が好きってことじゃねェんですかィ?」
『好き?あたしが、銀時のことを?』
「そうでさァ。ま、今はわからなくても、そのうちわかるようになりまさァ」
『好き、か……』
あたしは、銀時のことが好きなんかな。
総悟が言ってる“好き”はたぶん、likeじゃなくてloveの方。
もし、もしあたしが、銀時のこと好きなんやとしたら……。
そう考えると、昔のことがフラッシュバックした。
あの忌まわしい記憶が――。
そのあとあたしと総悟は、あたしがパフェ食べ終わるまで甘味処で話した。
食べ終わっても、ちょいとだけ話してた。
「勘定は、あとで土方って奴が来やすんで、そいつに払わせて下せェ」
甘味処を出るときに、総悟は言う。
店員さんはかしこまりましたと言ってた。
『ええの?お勘定』
「いいんでさァ。土方さんは金持ちでねィ」
誰かは知らんけど、払ってくれるならいいやろう。
と、あたしは思った。
払わせる総悟も総悟やけど、承る店員さんも店員さん。
その辺は気にしたらあかんな。
好き。
そう気づいてもたあたしは、これからどうしてこう……。