ひたすら戦った。
目の前の敵を倒すことだけに集中した。
茜も、同じ。
だけど敵の数が多すぎて、苦戦している。
「、……っ!危ね、茜!」
『っ!あ、りがとう、銀時』
「大丈夫か?」
『うん、大丈夫』
こんなことが何度もあって、何とかやっと、最初にいた数の半分くらいにまで敵の数は減った。
だけどまだ、大量にいる。
あの頃戦った奴らより目の前にいる敵の方が強くて、倒すのに時間がかかる。
その所為で、体力がもうほとんどない。
茜も同じだろう。
長引けば、やばい。
「まだやれるか、茜」
『やれる。頑張る』
茜の返事を聞くと、俺は敵の中に突っ込んだ。
少しずつだが、敵を斬っていく。
茜の方も心配だが、その心配を減らす為には敵を斬るしかねェ。
「っ、はっ、はっ……」
呼吸が荒くなる。
そろそろ体力も限界がくる。
だけど、俺は。
「まだ……やんねェと、」
一呼吸置いてから、また敵に向かっていく。
斬っても斬ってもキリがねェ、どんだけいやがんだ。
不意に視界の中に茜が映って、気がそっちにいった。
苦戦している茜。
ギリギリのところで敵の攻撃を避けて刀を振り下ろす。
肉の切れる感触だけを頼りに敵が死んだことも確認せず茜の元へ駆け寄った。
背後から敵を斬り、茜の後ろに迫っていた敵も斬った。
「茜、」
『銀時、』
少しだけ視線がぶつかって、前を向いた。
背中合わせに立って剣を構える。
残るは、数人。
もうどれくらいの数の敵を斬ったかなんてわからねェ。
わかるのは、俺と茜の限界が近いことと……俺が、鈍く弱くなったこと、だけ。
「これで、最後だ。やるぞ、茜」
『うん』
茜の返事を合図に、地を蹴り敵の元へ。
ただ、斬った。
目の前にいる少しの敵を斬ったときのこと、だった。
『銀時!!』
茜の声に振り返ると、崖から落ちそうになっている茜の姿が目に入った。
その瞬間がスローモーションがかかったかのように、時間がゆっくりと流れて、茜が落ちていく。
敵は、そこにいた一人だけ。
「茜ーッ!!」
俺の声でスローモーションがとかれたかのように、時間が普通に戻った。
走り出す俺、落ちていく茜、嘲笑う敵。
駆けて敵を斬って、崖下に手を伸ばす。
伸ばす……けれど。
茜には、届かなかった――。
『銀時ーーッ!!!』
「茜ーーーッ!!!」
茜はそのまま、重力のままに、崖の下へと落ちていった。
敵は全員倒したし、傷だらけにはなったがちゃんと生きてる。
だけど、茜を、護れなかった……っ!