My happiness, your happiness

□あとがきとおまけ
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茜、と沖田くんにそう呼ばれて、笑顔で沖田くんの元へ茜は行く。


少しの嫉妬心はあるが、特別沢山嫉妬しているわけじゃない。

ただ茜がほんの数分でも俺の傍から離れることが名残惜しいだけ。

ひとときも離れずに一緒にいたいと、願ってしまう。

二年も茜と離れていた所為かもしれない。



「幸せ、か」



特に意味もなく呟いた。

いや、意味ならあるのかもしれねェ。

その意味に俺が、気づいていないだけで。


俺がデスクの椅子に座ると、真選組四人が何か色々言いながらリビングを出ていく。

それに続いて、神楽と新八も。


万事屋に残ったのは、俺と茜だけになった。



『銀時』

「どうした?」

『何でもないっ。呼んだだけ!』

「何だよ、それ」



笑顔で言う茜に、俺もつられて笑顔になる。

茜といると自然と頬が緩む。

好き、だからか、否か。

茜にそういう力があることだけは確かだ。


やっぱり、茜は。



「沖田くんと何話してたんだ?」

『生きててくれて、戻ってきてくれてよかった。って言ってくれたから、そのことについて、かな、話してたんは』



珍しいことに茜が、椅子に座っている俺の膝の上に座る。

それも、俺の方を向いて。

俺の反応を伺うように上目遣いで見上げてくるから、余計に可愛い。


キスしたい衝動を、抑えた。


まだ茜て話したいことが残っているから。



「変わった、よな、茜」

『そう?』

「あァ。出逢ってからしばらくは人に怯えて、笑顔が少なかった。でも今は、こんなにも笑ってらァ」

『そう言うてくれて、おおきにな。あたしが変われたんはきっとみんなのおかげ。銀時の周りの人らは、みんな、あったかいから』



茜に、キスをした。

衝動が抑えられなくなったわけじゃない。

ただなんとなく、そんな気がしたから。


ゆっくりと唇を離すと、ぎゅっと優しく茜を抱きしめた。

茜の温もりが伝わってくる。



『けど、』

「……けど?」



そこで言葉を切る茜。

一度俺と目を合わせてから、俺の耳に口を寄せた。


囁かれる、一文。


それを言い終わってから俺を見て照れ臭そうに笑う茜に、二度目のキスをした。





『一番あったかくって、大好きなんは、銀時』

その次に紡いだ言の葉は“愛してる”よりも強い、二文字。






(2010.03.19)


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