復活

□君にキスをした
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気にくわねぇ。

コイツだけは気にくわねぇ。


別に、10代目や俺にまとわりついてくるわけでもねぇし、他の女子みたいに五月蝿いわけでもねぇ。

ただ気にくわねぇ。


其処に入った瞬間、俺は苛立ちを隠せなかった。



「てめぇ真白……!んでてめぇが此処にいんだよ!」

『……なんでって言われてもねぇ……。ツナと山本に言われたから?獄寺はなんでさ?』



壁の近くに立っていた真白を、壁に押し付けて言った。

真白の顔の左右には俺の両手がそれぞれある。



「10代目に言われたんだよ。こんな中に入れって」

『ふーん』



興味ねぇなら訊くんじゃねぇよ、俺は心の中で呟いた。

しばらくこの状態のままで、沈黙が続いた。


俺は真白を睨んでる。

けど真白は、何処か別の方を見ている。


……気にくわねぇ。

とにかく気にくわねぇ。



「真白」

『なに?』

「俺は真白、お前だけは気にくわねぇ」

『うん、知ってる』



俺は、右手で真白の顎を支えて、真白にキスをした。

真白は俺のキスを拒むことなく受け入れた。



『矛盾してない?』

「なにがだ?」



気にくわねぇ。

けど俺は、こんな真白のことを……。



『口では“気にくわない”って言ってるくせに、キスなんてして』

「んなことはわかってんだよ」



もう一度、真白にキスをした。

だんだん深くしていっても、真白は拒まなかった。



『ねぇ獄寺。隼人って呼んであげようか?』

「は?」

『ははっ、冗談』



少しだけ、呼んで欲しいと思っちまった自分がいる。

俺は馬鹿か。


何処か違うところを見ていた真白と、目が合った。



『獄寺』

「なんだよ」

『好き?私のこと』

「だったらどーする?」



真白は少し考えるような素振りを見せた。

一度、俺から視線を外したけど、また目が合った。



『別にどうもしないよ。私も好きだから』



少し笑った真白が、可愛いと思った。

真白と話しているうちに、いつの間にか苛立ちが解消されていた。



『ね、獄寺』

「なんだよ?」

『寝てもいい?』

「……は?」



眠いんだよね、と真白は付け加えた。

昨日何時に寝たのかを問えば、12時だとか。



『いいよね、別に。ふわぁ……おやすみなさい……』

「真白!?」



俺に身体を預けて、真白は静かに寝息を立てて寝ちまった。



「襲われても知んねーぞ?」



俺は呟いて、眠っちまった真白にキスをして抱きしめた。








(2009.01.10)


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