復活

□冗談見破ってくんねーと困るだろ
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それは昨日のこと。

昨日の放課後、私は獄寺くんに告白をした。

そしたら獄寺くんは、あるものを見つけてきてくれたら付き合ってやる、と言った。

だから私は、今日初めて学校を休んだ。


“あるもの”を探す為に。



一日を使って、私は街中を探し回った。

探してないところは、立ち入り禁止のところと、水の中くらいじゃないかってくらい。


だけど獄寺くんに言われた“あるもの”は、何処にもなくて。


私は、どうしようかと途方に暮れていた。

色々考えながら、私は河原を歩く。

考えはするものの、全くいい考えが浮かばない。



『どうしよう……』



河原を歩く足を止め、その場にしゃがみ込んで、足元にある石を川に投げ入れる。

私は何度も石を川に投げながら、どうしよう、とため息混じりに呟く。


――真白!


ふと、獄寺くんの声が聞こえた。

辺りを見渡してみるけれど、誰もいない。


私の視界に入ったのは、海に沈もうとしている、綺麗なオレンジ色の夕陽。



「真白!」



今度は、はっきりと獄寺くんの声が聞こえた。

夕陽とは反対の方向を見てみると、走ってくる獄寺くんがいた。


私は慌てて立ち上がって、逃げようとする。

だけど、走り出すとすぐに追いつかれて、腕を掴まれてしまった。



「真白、お前何処行ってたんだよ?」

『…………』



私は答えない。

きっと、獄寺くんには呆れられちゃうから。


夕陽の方を向いて俯いていると、不意に獄寺くんに抱きしめられた。



「何処、行ってたんだよ?」

『……っ。ごめん、な、さい、獄寺くん。私、あれ、見つけられ、なか、た……っ』



口が勝手に動いて、涙がぽろぽろと零れ落ちる。

獄寺くんの、腕の力が少し強くなった。



「やっぱばかだな真白は。あんなの冗談に決まってるだろ」

『冗談……?』

獄寺くんは私を離すと、私にキスをした。


「今日学校で、冗談だって言おうと思ってたのに、真白休みやがって」

『ごめんなさい、』

「謝んなよ。俺が悪かった」



獄寺くんは言うと、また私にキスをした。






(2009.01.18)


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