近土(近)中心短編

□君の後ろ姿
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近藤さんと俺の今の関係を語るとしたら武州の頃からの戦友であり気の置ける仲間。時として兄弟であり家族だ。

いつも一匹狼でいた俺を自然と引き込ませ他の奴らと同様笑顔で世話を焼く。みんな近藤さんの人柄と器のデカさに惹かれ此処まで来た。
俺もその1人だ。だけど俺は江戸へ上京する頃から1人の男として近藤さんに惹かれていた。
だからミツバから想いを伝えられるも俺は冷たく突き放すしかなかった。彼女の事も本当に惚れていたが侍になるという信念と何より近藤さんの傍にいたい、近藤さんを守ると言う気持ちが俺を突き動かした。だからせめて心の中で彼女の幸せを願いながらその晩は人知れず涙を流した。

近藤さんにはまだ想いは伝えて無い。というよりか別に伝えなくても良いと思っている。想いが伝わらなかったら怖いとかそんな臆病っていう風では無い。

自分にも気持ちがあった癖にミツバへの想いに答えてやれなかった引け目からとただ優しい近藤さんを困らせたくない気持ちがあって…。

今日も書類整理に追われる俺の為に巡回を代わってくれた近藤さんをせめてもと見送りに玄関の柱にもたれ掛かりながら靴を履くその大きな背中を自然と見つめる。

自分には無い勇ましい男の背中だと思った。
真選組の看板を掲げ俺らを守って来てくれた広い広い背中。だからこそ、この背中を守って行きたいんだ。
アンタを好きだと伝える事を引き換えにな?


けどよ…、アンタの後ろ姿を見送る瞬間だけはアンタを好きだという正直な俺でいさせてくれ…。


「行ってきます」と元気良く手を振ってく近藤さんの姿が見えなくなるまで俺は煙草の煙りをくゆらせながら静かに笑い見送った。




終わり





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
タイトルをちょっと解説。

振り返らないことを願うけど
一度も振り返ったことなんてない
君の後ろ姿を見送っている
疑いようもないくらい片思いだ
まるで立てかけたほうきみたいに
壁にもたれかかりながら ただ
君の後ろ姿を見送るときだけ
嘘をついてない僕でいられる

槇原敬之の「君の後ろ姿」というサビを見たら近藤さんに片思いしている土方さんのイメージが浮かびました。
いやこの曲自体そういうイメージですかね。
近藤さんに絶賛片思いしてる土方さん…切ないけど何だか萌えちゃいます(苦笑)。

宜しければ一度聞いてみて下さいませ〜。




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