土新(銀新)中心短編

□再宣戦布告!
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「土方さん…」

「よぉ」


万事屋の仕事も終わり明日は遂にお通ちゃんのオフィシャルファンクラブをかけて闘うトッシーの消化の為に立ち上がった土方さんとの対決の前夜…。
僕の家の門の前で煙草を吸いながら佇んでいる本人に気付き声を掛ける。


「何の用ですか?」


何の用かだなんて理由は知っているが僕は敢えて土方さんに尋ねる。何の表情も作らず彼をじっと見据えながら…。


「何の用か…って?俺が来た理由なんざ1つしかねぇだろ?知ってる癖によ…」


土方さんも同じようにじっと僕を見据える。


「そこ退いて下さい、僕明日の為の体力準備とかもあるんで忙しいんです」


家に入る為、土方さんの前を通り過ぎ足早に門をくぐろうとすればグイッと少し痛いぐらいに腕を掴まれた事に気付き足を止める。


「離してくれませんか?忙しいって言ってるって聞いてませんでしたか?」


僕は土方さんをこれ以上にない位に睨み付けた。


「聞いてた」

「だったら離して下さい」
「やなこった、明日の闘い辞退するって言うまで俺は離さねぇ」


煙草を揉み消し僕の睨みに動じる事なく土方さんは飄々と言ってのける。


「何言ってんですか…僕はあの日貴方が万事屋へ来てた時と気持ちは変わらない…寺門通親衛隊長として僕は闘う!相手が恋人である貴方であったって僕は闘う!」


これはお通ちゃんを思うファンとしての僕のプライド…そう、プライドだからこればかりは譲れないんだ。


「…良い目ぇしてるな…」


ポツリ呟き土方さんは緩く微笑んでいたが目は少し切なそうに揺れて見えた。掴まれた腕は漸く解放された。


「俺は出来ればお前とは闘いたくなかった…だがお前がそこまで本気を見せるなら俺も容赦しねぇ…平穏な日々を掴む為に本気でお前らを潰しにかかるからな?」

「…臨むところです」


お互いニィッと笑い合う。


「じゃあな…」

「土方さん!」


踵を返し帰ろうとする土方さんの隊服の襟首を掴み此方へと引き寄せれば触れるだけの口付けを交わす。


「何の真似だ?急に心変わりでもしたのか?」


顔色変えずに淡々と尋ねる。


「馬鹿な事言わないで下さい、戦線布告のキスですよ」


だから僕も淡々とした口調で言葉を返した。


「…フッ…上等だ、しっかり受け取らせてもらったからには本当に容赦しねぇからな?」


キスした唇を押さえ、今度こそ去ろうとした土方さんだったが途中足を止めた。


「……あん時、トッシーに扮した俺に気付いてくれて嬉しかった、じゃあな…」


一瞬振り向いて不敵な笑みを残し土方さんは帰って行った。


「…あんたを好きで見てるからそれ位気付くなんて容易い事ですよ……でも…この闘いだけは貴方に負けられませんから…」


1人呟きつつ彼の小さくなっていく後ろ姿を力強く見つめながら手をギュッと握り締め僕は明日への闘いに再び闘志を燃やした。




終わり

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