土新(銀新)中心短編

□愛おしい2人へ
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今日が自分の誕生日なんて忘れていた。それもすっからかんに。

だから新八や神楽が俺を留守したのを良い事に祝う準備をしてるなんて知る訳も無く何時も通りパチンコをして少し勝ったんで飲んで帰ったのは午後11時半。


「お〜い、今帰ったぞォ〜」


呼んでも出て来ないのはきっと寝てるんだろうと思い俺は千鳥足で部屋へと向かう。

すると目の前に飛び込んで来たのはテーブルの上に置かれていた形が崩れかかっていて如何にも作りましたという感じのケーキとその周りを取り囲むように寝転けているツッコミ眼鏡と大食らい娘にデカい犬。

ケーキに書かれた文字は“銀ちゃん誕生日おめでとう”。

そこで自分が今日誕生日だったんだと気付く。ケーキ皿の傍には何やら置き手紙。
俺はそれを手にし広げてみる。


『誕生日おめでとうございます銀さん。今日は折角の主役なのに何処出歩いてるんですか!泊まるつもりで来たのに…』

『誕生日おめでとうアル!銀ちゃん!又パチンコアルか?まぁいいネ。兎に角ケーキ食べないで待っててあげたからたらふく食べるヨロシ』


読み終えて俺は寝ている2人に毛布を掛けてからソファへと腰を下ろした。


「全く、泊まりに来てまで祝いに来いなんて頼んでねェっつーの。食べないで待ってた?それ祝う側の台詞じゃねェじゃん」


ポンポン出る悪態とは裏腹に頬が緩む。ケーキに被せてあるラップを取り包丁でケーキを切り分ければ取り皿にあったフォークで一口口に含んだ。


「形は悪いし甘さ足りねェし銀さんの手作りには到底及ばねーが…まぁ、こういうのも良いもんだな」


心に暖かいものがふつふつと湧いて来る。今まで自分の誕生日なんて暗く悲しいものしか記憶にねェから正直戸惑いを感じたが悪くないと思った。

コイツらに出会ってから賑やかになって俺は暖かい気持ちを知るようになった。
今日は特にそれがデカいと感じる。


「お前ら、俺に暖かさを植え付けた以上は責任持って俺の傍にいやがれバカヤロー…」





誕生日なんて忘れていた。それもすっからかんに。
…いや、忘れちまおうと思っててそうしてる内に本当に忘れちまったんだと思う。

でもコイツらが傍にいる限りは誕生日を忘れるなんてしないでおこう。


ケーキよりも何よりもお前らがいてくれてありがとな。




終わり


10/10生まれの銀さんへ
HappyBirthday!

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