土新(銀新)中心短編

□瞳で物語る想い
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「俺はこの人の傍にいたいだけだ」



僕の家まで近藤さんがいつものように姉上をストーキングしてのされて土方さんが迎えに来た晩に僕が「近藤さんの事好きなんですか?」と尋ねた答えだった。

照れ屋でぶっきらぼうな土方さんらしい答えだなと思った。しかも近藤さんに行くぞと促す言葉さえも優しくそれを見つめる瞳も柔らかい。

多分沖田さんや山崎さん、僕にさえ見せない目だ。それを見るだけでも近藤さんの事を好きなんだという想いで溢れている。


近藤さん、貴方は土方さんのこんな優しくて切ない気持ち知らないでしょう?


土方さんからこんな風に想われてるのも知らないで姉上のストーキングをやめない近藤さんを僕は姉上以上にのしてやりたい気持ちに駆られる。貴方を羨む気持ちで一杯になる。

こんな互いが叶わない思いを抱えているくらいならいっその事僕が土方さんを嫌いになれれば良い。それか僕の方を向いてくれればきっと…。


「僕は貴方の…土方さんの傍にいてあげれるのに…」


帰る道中降って来た雪は道を薄らと隠している。
深々と降る雪はきっと明日の朝までには積もってる事だろう。まるで僕らの想いみたいに…深く深く。それが例え報われない想いでも。

見上げた顔に舞い降りた雪が溶けて水になっていき頬を伝う様は涙みたいだなと思った。


「それでも近藤さんを想う優しい貴方が好きなんです」


直に流れる本物の涙と共に僕は想いの丈を小さく零しながら再び雪の舞う夜空を見上げた。







終わり

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