お題で土近話

□3.偶然か運命か
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偶然か運命か





近藤Side


懐かしい夢を見た俺の遠い遠い初恋。
男の子だったけど笑った顔がすげェ可愛くてずっと忘れられなかった。


今頃何してんだろうかとかどんな奴になったのかとか気になって仕方なくてたまに夢にまで見る。
今でもだ。


だからその初恋の子と今日まさかの再会をするなんて夢にも思わない俺はいつものように一つ下で幼なじみの沖田総悟と学校へ登校する。


「じゃあ近藤さん、又昼休みに」

「おう、後でな」


総悟と一旦別れ自分の教室を目指す。
教室へ着き中に入ると何やらクラス中大騒ぎだ。


「あ、近藤さん、おはようございます!」


おはようとクラスに声をかけるとその声に反応した山崎が近寄って来る。


「こりゃ、何の騒ぎだ?」

「ええ、何やら今日転校生がやって来るようで今それで持ち切りなんです」

「転校生?」


はいと返事をした山崎は後ろを見た。
どうやら良い男らしくて特に女子は大騒ぎだとの事。


「な、な、俺と張り合うくれェの良い男かな?」

「…知りませんよ」


そんなの見てからにして下さいと呆れ口調で言って苦笑漏らし山崎は自分の席へと戻って行った。


「ダチになれるといいなー」


独り言を呟きながら自分も席へ着き教科書を鞄から出している内に始業のチャイムが鳴る。

程なくして担任の長谷川先生が出席簿を持って入って来た。相変わらずグラサンをしての登場だ。


「皆、おはようさん。出席取る前に新しい仲間を紹介する。入って来い」


呼ばれて入って来たのは黒髪短髪の目が切れ長の良い男。女子から「格好良い」の言葉が飛び交う。


「紹介をどうぞ」


長谷川先生から促されたその男は「はい」と頷きこちらを見る。
一瞬、俺と目が合った。


「土方十四郎と言います。宜しく」


…とうしろう…?


俺はその名前にふと疑問を抱き思い出そうとする。


「席は…あ、近藤の隣空いてたな」

こちらを指刺され先生は転校生に俺の隣に行けと指示され、段々俺に近付く。


「宜しく」

「あ、うん、こちらこそ宜しく。俺、近藤勲って言うんだ。仲良くしてくれ」


席に着いた転校生に笑って手を差し延べる。


「久しぶりだな、あの時の笑顔と全く変わってねェ」


…久しぶり?…


俺は呆気に取られたまま手を握られた。


「覚えてねェか?そりゃちっせェ頃だったから忘れてるのも無理ねェか…」


手を離しクスリと笑み漏らすソイツを俺はまだ驚いた面で見つめていた。


「道に迷って泣きべそかいてた俺をアンタが親戚の家まで送ってくれた…ここまで言って分からねェか?」


…っ!思い出した…


「とうしろうってあん時のかっ」


漸く気付いたかと笑う顔は確かにソイツだと理解出来た。面影があの時のものと一致したから…。

だけどあの時と違うのはとても男らしく大人一歩手前の格好良い奴になっていた事だった。




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