お題で土近話

□3.偶然か運命か
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土方Side



俺がこの町に初めて来たのは6歳の頃。


たまたま親戚の家に遊びに来てて外へ出てお袋と散歩中逸れてしまい困って泣いていたら「こんどういさお」と名札の書かれた奴に声をかけられた。

俺を背負い親戚の家まで送ってくれた。別れ間際に頭撫でる手の優しさと太陽みたいな明るい笑顔に俺は男だと分かってたが…一瞬で恋に落ちた。


俺の初恋。


それからずっとこの町に戻って来るのだと「こんどういさお」という名前だけを頼りに捜した。

そして見つけた。

時間はかかってしまったが俺は両親に頼み込み地元の高校を退学し初恋の「こんどういさお」の通う高校へと編入した。


高校の定められたアパートへ引っ越しをしてる最中、喉が渇き近くの自販機に買いに行った。

そしたら幸運にも見つけてしまった。


俺より背丈はあってガッチリしてるけどあの頃の面影と全く変わっていない横顔。一瞬にして俺の心を掴まれてしまった笑顔がすぐ後ろを通り過ぎて行った。


「やっと、会えた……」


週明けに俺は転校先として又しても幸運な事に「こんどういさお」のいる同じクラスになれた事に神様がいるならこの時ばかりは感謝しようと思ったくらいだ。
神様なんて普段は信じねェが…。自分の強運を本当に嬉しく思った。


更に席も隣りで間近で見た笑顔と驚きの表情に俺は思わず笑みを零す。



偶然か運命か…俺は「こんどういさお」と嬉しい再会を果たした。




続く
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