モノクロームの紅い薔薇

□第10話 エストラーネオ
1ページ/3ページ







昨日の少年に「並盛商店街の入口に来い」と言われ、その通りの場所にいた。

『・・・・・・なんで私の名前知ってたんだろ・・・』

すると、昨日の少年が歩いてきた。

『あ・・・』

「・・・・・・・・・」

ただでさえ激しい人見知りをするレン。

しかも男って!!

『・・・・・・・・・・・』

「・・・・・・」

沈黙が続く。

『・・・あ・・・の・・・・・・』

「・・・・・・柿本千種・・・」

『・・・?』

「名前・・・言ってなかったから」

それだけ言うと、ずかずか歩き始めた。

『・・・・・・・・・・・・』

(どうしよう・・・。歩いてちゃったけど・・・・・・)

「・・・早く」





***





千種に連れられてやってきたのは、黒曜ヘルシーランド。

複合娯楽施設だったのだが、もう完全に廃墟だ。

『・・・ホラー』

ゾンビでも出てきそうな雰囲気。

『・・・・・・・・・ここ・・・入るの・・・?』

「中にいるから・・・」

『な・・・何が?ってゆうか、入りたくないっ。絶対何か出るよ!』

後ずさるレンの手を取る。

『とめないでぇっ・・・』

「早くして」

『やだやだやだっ』

引き摺られながら、黒曜ヘルシーランドの中へ入っていく。

『っ・・・』

千種の腕に掴まりながら、滅びた階段を上がる。

3階へ。

『ひっ』

カーテンが風に揺れている。

『やだぁ・・・っ。帰るーっ!』

「はぁ・・・」

逃げようとしたレンの手を握る。

「レンを待ってる人がいる・・・」

『・・・・・・・・・』

「ずっと・・・何年も前から、君を待ってる」

『・・・・・・誰・・・?』

「来ればわかる」

『・・・・・・・・・』

顔をしかめながら千種の手を握り返す。

「・・・来る?」

レンが小さく頷く。

そしてホールの扉を開けた。

ステージには破れてボロボロになった幕が下りている。

『〜〜〜〜〜〜〜っっっ・・・・・・』

今にも泣きそうなレンにとどめをさしたのは、幕の端から出てきた黒い影。

『やめてぇぇぇ!』

背を向け、しゃがみ込む。

「・・・・・・レン・・・」

『私食べても美味しくないよ・・・っ。吐くよ。食中毒になるってぇ・・・』




「お化け・・・というのを、まだ信じているんですか?」




レンの肩に手が置かれる。

『やややややややややややっ・・・・・・あぅあああああああっ・・・
わ・・・わわわわたし食べても・・・っっ』

「食べませんよ。まぁ、食べてもいいなら食べますけどね」

『へ・・・・・・??』

涙目で振り返る。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ