ピーターパン症候群
□一つ目の出逢い
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バスの中。
結芽はボーっと外を眺めていた。
隣の席のさくらは寝不足なのかうたた寝をしている。
今日から親睦旅行だ。
結芽の学部には男の子があまりいなかった。
結芽もさくらもモテる方だったが、結芽は一夜限り、さくらは男に免疫がなくまともな恋愛をしてこなかった。
結芽はため息をついて目を閉じる。
すると頭に声が響いた。
あの声だ。
………きっかけは見つかった?
結芽はその声に心の中で答えた。
そうするとその声と会話ができたのだ。
(まだ…自分が何をしたいのかすらわかっていないのに。)
………見つけ方がわからないんだね。
(きっかけって…見つけるものなの?)
………………ふふっ
(ちょっと…何を笑うの?)
………この旅行では、僕が協力するよ。
(協力…?)
………適当に生きてるくせに自分に満足できない君が、カワイいから
声はそこで途切れた。
「……何それ」
結芽は呟くと目を開いた。
外には駐車場が広がっている。どうやらサービスエリアに着いたようだ。
結芽はタバコと携帯を持ち、バスを降りた。
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