オリジナル
□空と地の間に・・悪魔
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風がふいて、髪がなびく
空を眺めていると気持ちが良い
「おい、セイヤどーした?何かあんの」
幼馴染で小さい頃からの付き合いの村木祐士が、背後から頭を押さえつけてきた。
「別に何も・・・つーか重い!どけ!」
「おぉ、わりーわりー(笑」
手をどける幼馴染、こいつとはいつもこんな感じだ。
「なぁ、そろそろ帰んねぇ?」
ごもっともだ。
ここは放課後の教室、今はクラスの中でも部活などに入らず暇な男子6人で集まり、どうでもいい話をしていたところだったのだが、延々と話をするだけではさすがにネタも尽き、今ではそれぞれただダラダラとしたり、漫画を読んだりしていた。
「そうだな」
「じゃー俺ら行くわ」
「おー」
床で寝転んでた奴らがどうでも良さそうに返事をしたのを聞き、荷物を持って廊下へ出た
祐士とは家が真向かいだから、こうして毎日一緒に帰っている。
階段に着く、踊り場の掲示板には様々な広告が貼られている
そんな中、一際目立つポスターがあった。
「・・・」
目を奪われた・・
青空・雲・日光これらが見事に重なった、まさに最高の一瞬を捉えたといえるであろう無駄にデカい写真
濃い青に、日の光に照らされ輝く雲が映えている
胸が高鳴る・・・ヤバい・・
「すげー・・空ってこんなに綺麗なんだな」
「・・・・・・ああ」
すごい・・どんな人が撮ったんだろう
写真のどこかに撮影者の名前があるだろうと探したが、載っていなかった。
「何だろ、これって・・写真部?」
「ここ写真部なんかあったか?」
「無いな」
じゃあ、この写真はなんでこんなところに?
疑問が頭をよぎる、が、考える間もなく祐士が歩き出した
おいて行かれそうだったから、急いでついていく。
「・・・」
「そうそう、昨日さぁー・・・・」
祐士が新しい話題をふってきた。
片耳でそれを聞いて、適当にあいづちを打つ
空を見ると
今日は一段と夕日が全体を赤く染めていて
真赤になった雲が、収まらない胸の高鳴りを表しているようだった
◆
<同日>
・・髪を後ろで束ねた、一人の問題男児が例の写真を貼っていた。
「よし、これで最後っと・・」
窓の外を確認・・・真っ暗になりかけている・・!
「やべぇ!」
階段から飛び降り、足にかかった衝撃に耐えて全力で疾走。
腕時計の針は6時58分を指していた
<部活動のない生徒の完全下校時間は7時ちょうど。守らない生徒には昼飯抜きでの長〜いお叱りが待っている>
6:59・・・校門まであとわずか!
門には生活指導担当の先生が待ち構えている
・・あぁ、俺は何回あの方に世話になっただろうか
ラスト10m・・走り続ける
そしてゴール!!
「タイムは!?」
思わず、待ち構えていた生活指導の小枝先生に時間を聞く
「・・・・59分54秒」
「よぉっしゃー!!!」
両手で大きくガッツポーズをした
喜びのあまり飛び跳ねる。
一方、横目で先生を見るとあまりに悔しそうだ
この人は[趣味=説教]の問題先生だったりする
「・・・ですが、廊下を走ったのはいけませんねぇ」
「はいっ、以後気をつけます!」
・・生徒の敵に別れを告げ暗空のもと、少年は家へと向かった