◆短編小説◆
□口笛吹けば
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....想いを抱き始めてからもう結構たつな。
高校に入って、
俺はテニスをやめた。
理由は負けるのが悔しくて、
強くなれない自分が苦しくて。
そんな弱い理由で逃げた俺が、
どんなツラ下げて日吉くんに会いにいけるだろうか。
あの頃、告白はしなかったけどメアドまではゲットした。
このメアドだけが唯一の繋がる手段。
でももう暫くこのメアドを使ってない。
日吉くんとの最後のメールは中3の1月。
きっともうメールすることはなくて、
もう二度と二人のやりとりは増えないんだろう。
でもそれでもまだメールボックスには【日吉くんフォルダ】が一番上にある。
日吉くんとの過去のやりとりのメールをたまに眺めては、
小さな幸せを手に入れたような、なつかしいような、寂しいような気持ちに駆られる。
【日吉くん、元気?】
それだけでもいいから日吉くんにメールを送りたい。
でもただそれだけの勇気が出ない自分は、
やっぱり臆病者。