2周年記念

□スキまでのじかん。浅羽祐希の場合
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放課後、日直だったおれは教室に残って今日の日誌を書いていた。
意外と記入事項が多くて手間取って仕方ない。
こんなことなら朝からコツコツと進めていればよかった、と後悔するも今さらどうしようもないことだ。

(女子ってこーいうの得意だよな)

前日に日直だった女子の日誌を参考にして、どうにか書き終えたのは、すでに夕日が半分くらい沈んだ頃。


「ふう」

シャーペンを置いて息を吐くと、自分のものではない声が返ってくる。

「終わったの?」

双子の片割れ、祐希だ。
このときまでその存在を忘れていたのは内緒である。

「おう」

教室にはおれとこいつ以外、誰もいない。

「ごめんな、待たせて」

いつものメンバーは日誌があるからと伝えた途端さっさと帰ってしまった。薄情なやつらだ。
待っててくれた祐希くんを見習いなさい。

「別に。アニメージャ読んでから帰りたかったから」

理由がこれだから複雑だけど。




「んじゃ、帰るか」

日誌は帰りながら提出するとしよう。

祐希がアニメージャを閉じるのを横目に、帰り支度を始めた。

宿題の出てる科目だけ鞄に詰めて、それ以外は無造作に机に押し込む。
よし、完了。

さて、祐希は

「うおっ」

顔あげたら思ったより近くに祐希がいるもんだから、驚いた。


「(びっくりした…)オッケー?」

「ん」





「じゃあ行こ――…」




ずいと祐希の顔が近づいたと思えば、次いでくちびるにやわらかい感触。





(…は?)







「好き」




『スキまでのじかん。浅羽祐希の場合』

(順番ちがくね?)


**


後書
優兜様からリクエストいただきました。
祐希君バージョンです。
わかりにくいかもしれませんが、悠太君のと主人公は別人のつもりで書いてます。
悠太君と比べるとちょっとばかし子供っぽい感じにしたかったのですが…雰囲気出てますでしょうか?
超蛇足ですが…タイトルは「好き」と「キス」をかけてます(この上なくわかりにくい)(すみません)

こんなもので良ければ、皆様お持ち帰りくださいませ。


09.8.25 漆島希有









 

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