地獄
□イカれた男たち
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「もう、嫌ぁ…嫌…」
母親の狂ったような叫び声。
父親の現実逃避。
そして、小さな妹ふたり。
「…お母さん」
「死んでよぉ…死んで…」
頭を抱えながら、母は包丁を握しめる。
「もう何もかもイラナイ…そうでしょう…だって」
わたしを追いつめるように歩み寄る母に、わたしは深く目をつむる。
コロサレル、全て。
「あなたがいなければ、こんなことにはぁぁ…」
母の声。
父の背中。
泣き喚く妹たち。
―瞬間、涙が一気に溢れていた。
わたしはポケットに入れていたナイフを取出し、グっと自分の首へと突き刺す。
「っ」
鋭い痛みと共に瞳を染めた真っ赤な血。
意識の薄れ、母の笑い声。
わたしはまた深く、目を閉じた…。