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□おおかみなおうじさま
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会いたいんじゃない、わたしのあいたいは、逢いたいなんだ。
「…今日で一週間」
仕事で忙しいのは分かってるけど、いつもは少し時間が空けば逢いに来てくれたのに。
わたしから尋ねたくないのは、女の子のわがままってやつで、ちょっとだけ抱きついて、愛を充電したいだけ。
「なによ…バカ」
ちまちまと指先でいじるシルバーのお揃いの指輪。
眺めていれば、何故か込み上げる怒り。
グッとそれを引き抜き、思い切り床へと、叩きつけようとした瞬間。
―-カツン、カツン
カーテンの外から聞こえた、窓を叩く小さな音。
おそるおそる、カーテンを開ければ、ハっと止まる吐息。
「っ、トラン…クス」
乱れたスーツと、久しぶりに見た、スカイブルーな笑顔に、慌てて窓を開け、部屋へと上げた。
瞬間。
「きゃっ」
ドサっと強く床へと押し倒されたわたしの体。
「悪い…俺、もう限界」
首へ伝う舌と、トランクスの荒い息に、ビクっと足元が動けば、満足そうな彼の顔。
一気に染まる、ピンク色の頬。
ねえ、これって反則じゃない?
END
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