青色緋色の錬金術師
□大佐と少女
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その言葉に、三人の視線は少女に集まる
「お兄様に、届け物がありまして」
「届け物?」
「つか、嬢ちゃん
よく此処まで来れたな
門番だって、そう簡単には通してくんない筈だぜ?」
「それもそうね
警備は何をやってるのかしら」
「警備の方は、届け物を見せたら通して下さいました」
「じゃ、その[届け物]っつーのは?」
「これです」
「「「あ」」」
少女が出した物を見て、三人は声を揃えた
少女の手に握られているそれとは…
「‥‥こりゃあ…」
「…発火布…ですね
大佐の」
視線が今度はロイに集まる
ロイは軍服のポケットに手をやり、確認する
「な…無い!
私の発火布が無い…!」
「だって此処にあるもの」
狼狽える兄に、少女は間髪入れずに言った
そんなやり取りを見、ホークアイとハボックは笑いを堪えるのに必死だった
ふと、ロイの方を向いていた彼女は、「あ」と二人を振り返った
「申し遅れました
私、レイ=マスタングと云います
町で医者をしています
どうぞ宜しく」
ぺこりと御辞儀をし笑む彼女に、
「私はリザ=ホークアイと云います
地位は中尉です
こちらこそ宜しく」
「俺はジャン=ハボック
地位は少尉だ
宜しくな、嬢ちゃん」
ホークアイとハボックも自己紹介をし、そしてそれぞれ握手を交す
「私の事はお好きな様に呼んで下さいね、中尉さん、少尉さん」