青色緋色の錬金術師

□傷の男と氷の剣
1ページ/5ページ

廃墟のような崩れかけた建物の一室に三つの人影が揺らぐ
筋肉質の小柄なものと、グラマラスな女のものと、丸々とした大きなものだ

「ねえ、そう言えばさぁ」

筋肉質の小柄な、男とも女とも言い難い中性的な長髪の──仮に男として──彼のその呼び掛けに、グラマラスな女性が振り返る

「イーストシティのタッカーが殺されたって」
「タッカー…ああ、綴命の錬金術師」

女は緩くウェーブのかかった長い髪を掻き上げる
呟いたその声は興味無さげに放たれた

「別にいいじゃないあんな雑魚錬金術師」
「んん、別にタッカーはどうでもいいんだけどね」

彼も話の中心の筈のショウ=タッカー自身には興味が無いらしい
女は含みのある彼の言い方に、視線だけ寄越して彼の次の言葉を待った

「また例の奴なんだよね」

彼の言葉に女は表情を変える

「……イーストシティって言ったら…焔の大佐が居たかしら」
「そ。鋼のおチビさんも滞在中だし──氷の妹君も居る。まぁ彼女は国家錬金術師じゃあないけど──大事な人柱の資格はバッチリだ」
「…どれも死なれちゃ困るわね
 いいわ、こっちは粗方片が付いてるし…私達で見ておきましょう。グラトニー、口拭いたら行くわよ」
「はぁーい」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ