青色緋色の錬金術師

□シチューと牛乳
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「綴命の…あぁ、ショウ=タッカーさんでしょう。言葉を話す合成獣の」
「知ってんの?」
「何度か会った事があるよ。お子さん…ニーナちゃんっていったっけ? 風邪引いた時とかに」

そうなんだ、とエドワードは返し、会話の相手の後ろ姿を眺めた
トントントン、とリズム良く上下する包丁。すぐ傍の鍋からはぐつぐつと音がしている
料理中特有の音に混じり、レイの鼻唄が聞こえる
いい匂い。何だろう。楽しみだな

「あ、お皿忘れちゃった」
「俺が取るよ」

立ち上がり、エドワードが言う

「ありがとう、其処の棚なんだけど」

レイの視線を追い掛ける
食器棚の扉の透明な硝子の向こうに、重なった白い皿が見える

「どれ?」
「上から三段目のとこの。二枚くれる?」

三段目…あれか。エドワードは戸を開ける
そして、はたと気付く

「(…ヤバイ)」

──届かない
自分から取ると言っておいて、今更取れないと言うのは恥ずかしい
だからと云って無理に取ろうとするのは危険だ。棚が倒れたり、他の食器まで落ちてくる可能性もある
しかし──以下略。エドワードは悩む。これ以上動作を停止していればレイに不思議がられるだろう
背が高くないと云う事を思われてしまうのは、どうにか避けたい──
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