黒と茶の幻想

□団長命令
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「旅団に入ってもう一週間かぁ」

ベッドに寝転がりながら、アリスが不意に呟いた
ベッド近くの椅子に腰掛け本を読んでいたクロロは、真黒な髪をくるくると弄んでいるアリスに視線を向けた
──此処は"幻影旅団"のアジト
加えて、その頭・クロロの自室である
何故アリスがクロロの部屋に来ているのかと云うと、何時になってもクロロが個室を用意してくれないからだ
(アリス曰く「仮」だが)入団して一週間、クロロの部屋で共同生活を送っていた

「一週間だよダンチョーさん、自分の部屋欲しい」
「いいじゃないか、相部屋で不便は無いだろ」

確かに今の所は不便は無いが

「相部屋なら他の人の部屋がいーよ
 パクノダとかマチとかシズクとかシャルナークとかノブナガとかフェイタンとか」
「…ちょっと待て
 パクノダ、マチ、シズクは判る
 何故シャルとノブナガとフェイが出てくる」
「ノブナガは刀の話出来るし
 シャルナークは物知りだし色々手助けしてくれるし」

この飴だってシャルナークが作ってくれたんだよ、と口内を示す
血によって子供の姿から大人の姿へと戻れるアリスの為に作られた、赤い飴玉
少しでも長くの時間、戻っていられるようにと、シャルナークが"強い血"に似た成分を調べ、開発してくれたのだ

「…百歩譲ってその二人は納得しよう
 どうしてフェイタンなんだ」
「え、だってフェイタン可愛いじゃん」
「……か、可愛い?」

ひく、とクロロの顔が引き吊る
アリスは気にせず頷く
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