黒と茶の幻想

□JUDAS
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「なぁアリス
 アリスは──ユダをどう思う?」
「…ダンチョーさんはいつも唐突ね
 ユダって…聖書に出てくるアレだよね、裏切り者」
「……俺は…ユダは裏切り者じゃないと思うんだ」
「どうして?」
「…」
「ユダの行動無くしてキリストの名声は得られるものでなかったから?」
「!」
「"[あの男を貴方達に引き渡せば幾等くれますか]と言った。そこで彼等は銀貨三十枚を払う事にした"
 ──ユダは銀貨三十枚でイエス=キリストを売り渡した事になってる…でも銀貨三十枚なんて当時の価値で僅か奴隷一人分にしかならない
 労働者が貰う給料の一月分しかない──本当にたったそれだけのものでキリストを裏切ったりするかしら? 聖書最大の謎ね」
「…アリス」
「彼は誰よりもイエスを愛し敬い尊んでいた──だからユダは"裏切り者"と云う十字架を背負う事でイエスの存在を世界中に轟かせた
 ──と、ダンチョーさんの考えはこんな感じかな?」
「アリス…何故、」
「あ、その反応はアタリね」
「…何故判った?」
「それはね、
 ──私もそう云う考えだからよ」




JUDAS





俺は柄にもなく
運命と云うものを、感じた

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