黒と茶の幻想
□あんたの死に様を
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最後の望みを叶えて
全ての目標を達成して
生きていく為の糧を失っても
あんたは、そのままでいればいい
笑って、アタシ達の隣に居ればいい
でも、どうしても耐えられなくなったら
その時は アタシが、
あんたの死に様をみててやる
「あんた、復讐が終わったらどうするんだい」
マチはアリスにそう問掛けた
アリスは幼い頃、両親を亡くして──殺されている
そのアリスの生きる目的は、両親を殺した者を殺す事
「さあ?」
「"さあ"って…あんたねぇ」
「だって、考えた事ない」
じゃあ、蜘蛛に入りなよ
──そう飛び出しかけた言葉を、マチは飲み込んだ
アリスは蜘蛛の一員ではない、(普通の、とは言い難いが)一般人に分類される
マチの、蜘蛛以外で心許せる唯一の人物だった
そんな存在のアリスを、失いたくはなかったのだ──今よりずっと近くに居られるとしても
それから、別の理由もあった
そちらの方が、割合大きいかも知れなかったから、マチはアリスにそれを言えない
「じゃ、マチのお嫁さんになる」
「…何言ってんだい、あんたは」
「そしたら毎日稽古つけて貰えるじゃん」
「仇討ちが終わればその必要も無いだろ」