青色緋色の錬金術師

□有と無
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「──っ!!」

飛び起きたエドワードは荒い呼吸で辺りを見回した
バクバクと煩い心臓の音がやけに耳につく
此処は──レイの家の部屋ではない。ああ、そういえば帰らずに軍の方に泊まったんだった
ギシ、と足が軋む。──嫌な夢を見た

「……いて…」

エドワードは苦し気な顔で足を抱えた




昨夜から続く雨の音を聞きながら、エドワードとアルフォンスは東方司令部の一室の前で扉を開こうか開くまいか迷っていた
末に踵を返すが、タイミング良くその扉が開き、其処から聞き慣れた女性に名を呼ばれ、一瞬ビクリとして振り返る

「あ…ホークアイ中尉」
「どうしたの、こんな朝早くから」

訊ねられ、エドワードは先程まで此処で訊こうか悩んでいた内容を躊躇いがちに口にする

「あ…あの、さ
 タッカーとニーナは…どうなるの?」

ホークアイはそれを聞き表情を固くする
その厳しい表情のまま、質問に答えた

「タッカー氏は資格剥奪、裁判にかけられる予定だったけど──二人とも死んだわ
 正式に言えば『殺された』のよ」

サア、と血の気が引くのをエドワードは感じた

「そんな…なんで…誰に!?」
「分からないわ。私も今から現場に行く所なの
 貴方達は駄目よ。──見ない方がいい」

エドワードは混乱した顔で何も言えなかった
ホークアイの厳しい声だけが、エドワードとアルフォンスの中で反響していた
ホークアイはそのまま歩き出し、出口に向かう。二人も弱々しい足取りでホークアイに続くように歩み出した
軍を出て、このままついて来るようならば注意せねばとホークアイはちらりと後ろを見やる
二人は大通りの方に足を向けていたので、ホークアイはほっと息を吐いて現場に向かった
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