◆その他版権モノ◆

□Human Nature
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僕が恋をする時はそんなふうに無意識のうちにしたいな
僕が誰かを愛するなら、本能の赴くままに愛したいんだ

――『HUMAN NATURE』MICHAEL JACKSON(対訳:泉山真奈美)より

  *

好きな人ができた。性別も年の差も関係なく、心の底から愛おしいと思える人が――。
その人の姿を見るだけで頬が熱くなる。その人の声を聞くだけで胸が高鳴る。
こんな気持ちは生まれて初めてだ。抑えようにも、次から次へと溢れて止まらない。
理性という名の鳥かごに閉じ込めていた小鳥(オモイ)は、ついに翼を広げて羽ばたいた。

「好きです、虎徹さん…。世界中の誰よりも、あなたのことを愛しています」

もう、迷わない。真っ直ぐあなたの元へ飛んで行くから……どうか、受け止めて欲しい――。
長い長い沈黙の後、愛しい人は今まで見たこともないくらい優しい笑顔でこう言った。

「オレも、同じ気持ちだよ」

僕の視界は、朝もやに浮かぶ湖面のようにゆらゆらと揺らめき、あなたという光だけを映し出していた。

  *

初めて二人で過ごす夜。とても贅沢で幸福な時間。あなたを独り占めにできるなんて、本当に夢のようだ。
「おいで、バニー」
ベッドの上で誘(いざな)うあなたを、そっと押し倒す。お互い生まれたままの姿。隠すことなんて何も無い。あなたの前でなら、すべてを晒け出せそうな気がする。
見つめ合って、抱き締め合って、それから唇を重ねた。
「……ちゅ……っ……ん……ちゅ…くちゅ……ふぅ……っん……」
時折漏れるあなたの吐息が耳に心地いい。呼吸を忘れるくらい夢中になれるキスなんて初めてだ。もっと、より深く、あなたを感じたい――。
唇を離すと、鼻先を擦り合わせて二人で笑った。
「眼鏡、はずさないのか?」
「あなたの可愛い表情(かお)をよく見たいから」
直後、眼鏡と唇を奪われる。
「じゃあ、コイツは没収だ」
「……イジワル」
レンズを通さずに見たあなたも、とても綺麗だった。
目の前の滑らかな素肌へ顔を寄せる。首筋の小さなホクロに舌を這わせ、鎖骨、胸の中央へとゆっくり下りていく。
「虎徹さん……いい匂いがします」
「加齢臭の間違いだろ?」
「違います。虎徹さんの優しい匂い……すごく、ほっとする」
「クスッ…。変なバニイ」
そう言って僕の頭を撫でてくれる。
――ああ。どうしよう。あなたのことが好きすぎて辛い。あなたへの想いが僕の中であたたかな雪となって降り積もり、僕を少しずつ満たしていくのが分かる。このままずっと、二人でこうしていたい――。
愛しい人の綺麗な身体に手を触れる。火照った肌の滑らかな感触と、鍛え上げられた逞しい筋肉の凹凸感が指先に心地いい。頭の天辺から足の爪先まで余すことなく愛で上げる。
「バニーの手……気持ちいいな」
夢見心地で呟くあなたが、とても愛おしい。両手を力無く投げ出し、僕にされるがまま身を任せてくれている姿に情欲をかき立てられる。もっと、あなたを夢中にさせたい。
「……ぁ…」
微かに目覚め始めていた雄に手を触れた時、あなたは小さく声を上げた。僕は柔らかなソレを右手で包み込み、優しく愛撫する。
「ココを触られるの、好きですか?」
たくさんの種子(たね)を宿しているつぼみが、僕の手の中でゆっくりと芽吹いていく。すると、あなたは少し照れたように言った。
「…ん……好き…。バニーに触られるのは、もっと好き……」
「……っ…」
――どうしてあなたは、そうやって無邪気に僕の心を乱すんですか?
抑えていた熱いモノが、内側から急激に突き上げてくるのを感じる。
「バニー…?」
たまらなくなって、あなたを抱き締めた。
「もう少し時間をかけたかったんですが……どうやら、無理みたいです」
僕の本能があなたを求める。もっと、深く、愛し合いたい、と――。
「っぁ…!?」
下半身を密着させると、あなたは驚いて肩を震わせた。僕の気持ちを最も強く表しているモノが、愛しい人のソレと密やかに寄り添い合う。
「…っ……虎徹…さん……」
一つになりたい。心も体も一つになりたい。
……でも、あなたを傷つけたくはない。
欲望と理性が激しくせめぎ合い、もどかしさだけが募っていく。愛しくて、切なくて、心が張り裂けそうだ。
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