◆ガンダムシリーズ◆

□愛 戦士
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「さあ、もう自分の部屋へ戻ってゆっくり休むんだ。ティターンズの襲撃はいつ来るか分からないんだぞ」
「…………」
ところが、カミーユはアムロの顔を見つめたまま再び黙り込んでしまった。
「カミーユ?」
アムロが不思議そうに首を傾げる。
「アムロさん……っ!」
カミーユは一瞬躊躇うように身を引いたが、突如一変してアムロを両手で突き倒した。
「ちょっ……カミーユ!何をする――」
アムロは起き上がろうとしてその場に凍りついた。
アムロに迫るように覆い被さったカミーユ。その目はどこか妖しい魅力を秘めており、月光に濡れる肢体は陰を纏いながらも白く、女性のように美しい曲線(ライン)を描いている。
突然の出来事に戸惑っていると、カミーユが今まで聞いたこともないくらい官能的な声で呟いた。
「抱いて…下さい」
「…なっ!?」
アムロは自分の耳を疑った。つい先程まで、シャアとの肉体関係について話してしたはずなのに……。カミーユの心意が読めない。
すると、彼はアムロの胸に顔を埋めて甘えるように懇願してきた。
「お願いします……」
「カミーユ…!?」
慌てて引き離そうとカミーユの肩に触れた瞬間、彼の思念がアムロの中に流れ込んできた。
どうやら、カミーユは今まで眠れない夜を過ごす度、シャアと寝ることによって得た快楽で安眠していたようだ。シャアの本心が分からないことへの不安を抱きながらも、安息を得るために性行為に及ぶ。カミーユをずっと苦しめていたのは、この繰り返される矛盾の行為ではないだろうか――と、アムロは懇願する彼を見つめながら悟った。
「カミーユ…」
同情するつもりはない。彼を突き放すことだってできる。
……けれど、もしこのままシャアの所へ行かせて、シャアがカミーユの気持ちを受け入れなかったとしたら――?あるいは、シャアが本当に性欲処理のためだけにカミーユを抱いていたとしたら――?
それではあまりにも不憫だ。
カミーユには七年前の自分に似た繊細さや危うさを感じる。おそらく、一度心が傷つけば回復は容易ではないだろう。そんな時、アムロという名の安息地があれば、彼にとって多少の慰めにはなるかもしれない。
目の前にある柔らかな青い髪をそっと撫でる。胸に埋まっていた顔がこちらを向き、視線が絡み合う。アムロはうっすらと頬を紅潮させながら言った。
「俺は……シャアのようにはできない…。それでも――?」
「…………」
カミーユは嬉しそうに微笑むと、アムロの唇にそっとキスをした。
-END-
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