◆その他版権モノ◆

□Human Nature
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「……バニー」
すると、あなたは僕の頬にそっと手を添えた。
「遠慮なんかするな。したいことがあるなら、お前の思うようにすればいいさ」
「でも…虎徹さんを傷つけてしまいそうで……」
「心配すんなって。オレ、体だけはホント丈夫だから」
そう言ってあなたはまた微笑む。その笑顔に何度励まされたことか――。
「それに、オレは自分が傷つくことよりも、お前の哀しそうな顔を見ている方が辛い……」
「…っ!?」
無意識の内に僕の瞳から溢れ出ていた雫を、あなたの親指がそっと拭う。同時に胸の奥の息苦しさも消え去った。
「バニーは、オレのこと好きなんだろ?」
「……はい」
「世界中の誰よりも愛してるんだろ?」
「…はい」
「だったら、その気持ちを素直にぶつけてこいよ。オレがお前の全てを受け止めてやるから……な?」
「……虎徹さん!」
僕は堪らなくなって、目の前の愛しい人を力一杯抱き締めた。
「あなたを好きになって良かった…。本当に…良かった……」
「ああ…。オレも、お前に愛されて幸せだ」
僕達はお互いの気持ちを確かめ合うように、もう一度深くキスをした。

あたたかな夜の闇に溶けていくように、二人の体もゆっくりと溶け合っていく。「好き」という想いを伝えるのに言葉は要らない。とても単純でストレートな方法――。
(…チュ……クチュ……キチュ…キチュ…)
愛し合う二人が一つになる――こんなに気持ちいいことが他にあるだろうか?……いや、ない。何もかもが想像を超える素晴らしい体験だ。
「好きです、虎徹さん……」
スキだからキスをする。あなたの唇と、あなたの中に――。何度も何度もキスをする。
(…チュク…チュク…チュプ……クチュ…)
あなたの中――まるで熟した果実のように瑞々しくてとても柔らかい。僕を優しく迎え入れ、離れようとすると寂しげにすがりついてくる。
「…ん……好き……オレも……バニーのこと……ぁっ…!」
……みつけた。僕だけが知っている、あなたの弱いトコロ。優しく刺激すれば、あなたは甘いテノールを奏で出す。僕はソコをノックし続けた。
(クチュ…クチュ…キチュ…チュク…チュプ……クチュン!…)
熟した果実から極上のワインができるように、繋がったトコロが更にうるおいを増していく。その甘美な味に二人で酔いしれた。
「…あ…あ…っん……いい……バニーの……すごく……きもちいい……あ…!」
「フフッ…よかった…。それじゃあ、もっと気持ちよくなりましょうね……虎徹さん」
好き、好き、大好き――。僕のありったけの気持ちをたっぷり注ぎ込む。あなたはソレを全て受け止めてくれた。
「はぁ…あっ!……バニィ……ああ…あッ!」
「…はぁ…はぁ……虎徹…さん……っ!」
お互いの呼吸が重なり合い、心地いいセッションが生まれる。鼓動(ビート)は高鳴り、律動(リズム)は更に激しさを増しながら、愛の二重奏は美しい音色(メロディー)となって部屋中に響いた。
「…バニー……ぁ……オレ…もう……っ…イ…く……あア!」
「…こてつさん……僕も…いっしょに……ッ!」
終わらせたくない。本当は、あなたとずっとこうしていたい。
けれど、歌や物語に終わりがあるように、この時間にも終焉が訪れようとしている。
……でも、それは決して哀しい終わりではない。これから始まる二人の新しい関係のための、大切な終わり――。
僕は愛しい人と一番深いトコロで繋がったまま動きを止めた。
「……虎徹さん…」
感じる。あなたへの愛が僕の中で激しく渦巻いているのを――。そして、あなたがその愛を受け止めることを待ちわびているのを――。
僕は愛しい人を強く抱いた。
「これからも……二人だけの思い出……たくさんつくっていきましょうね……」
あなたとなら歩んで行ける。これから先もずっと、永遠に、どこまでも――。
「ああ…。これからもずっと一緒だ……バニー…」
僕達は引き寄せ合うように顔を近付け、誓いのキスを交わした。
やがて、至高の愛で育まれた互いのつぼみは美しく花開き、愛し合う二人を真っ白な花弁で彩った――。

  *

情熱的な一夜が明け、窓から差し込むやわらかな光が気だるい余韻を残すベッドルームにも朝を告げる。
ふと目を開くと、腕の中には愛しい人――。安心しきったように穏やかな寝息を立てている。無防備な寝顔が見られるのは僕だけの特権だ。
「虎徹さん…」
起こさない程度の小声でそっと呼び掛ける。すると――。
「…ん……バニー…」
彼は夢の中で応えてくれた。その姿についつい笑みがこぼれてしまう。
僕は愛しい人を抱いたまま再び目を閉じた。こんな幸福な時間、終わらせてしまうにはまだ惜しい。
僕達の様子を見たみんなはきっと不思議がるだろうけど、人間ってそんなものじゃないかな。
-END-
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