07/07の日記

14:11
一角獣を追え! 〜緊急事態編〜
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おいら達はしばらくの間ゆうぜん菊を集めて回った。
「小人さん。原っぱの方で何か異常はありませんか?」
「今のところ、特に変化は無いよ」
森のざわめきに混ざって聞こえてくる動物たちの会話に聞き耳を立てているけど、まだ原っぱに一角獣が現れたという話題は出てこない。
「おーい!こっちにたくさん生えてるぞ!」
メルクリウスが少し奥の方でおいら達を呼んだ。それを聞いてソーセージも奥へと駆けて行く。
「あんまり原っぱから離れない方が……っ!?」
その時、おいらの耳に誰かの会話が飛び込んできた。
「やれやれ。せっかく木の上でくつろいでたのに……あの一角獣がやって来たから慌てて逃げてきたよ」
「でも、確か女の子が居たよね?あの子、一角獣が目の前に来ても一言も声を上げないで……。大丈夫なのかな?」
木の近くに居る口がきけない女の子――間違いない!
「ソーセージさん!メルクリウス!一角獣が現れたよ!!」
おいらは力一杯叫んだ。……けれど、なんの返事も返ってこない。
「ソーセージさん!?メルクリウス!?」
もう一度叫んでみた。しかし、やはり返事は無い。
(まさか……はぐれた?!)
ソーセージもメルクリウスも奥へ行ったから、小人のおいらの声が森のざわめきにかき消されて届かないんだ。
一角獣を退治するためにはメルクリウスの力が要る。おいら一人じゃどうすることもできない。
「妹をよろしく頼む」
あの白鳥の王子たちの言葉が脳裏をよぎった。こうしている間にも、女の子は一角獣に襲われるかもしれない。
「――っ!!」
おいらは一人、原っぱへ駆け出した。

(記入者:ルシュティル)

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