07/15の日記

12:54
一角獣を追え! 〜反撃編〜(前記)
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おいらは物陰から、女の子の背後にある木の上へとよじ登った。
――以前、館の中庭でご主人様と赤ずきんと一緒にいたらオオカミに襲われたことがある。その時、おいらは木の上からコショウを振りかけて、くしゃみをして怯んだオオカミを赤ずきんが撃退した。
そこで、今回もその方法を試してみる。一角獣を退治するのは不可能だけど、なんとか時間を稼いで女の子だけでも逃がしてあげたい。
おいらは女の子と一角獣の真上にある木の枝に座った。一角獣がすぐ傍まで歩み寄り、鋭い角で女の子の体をつついている。何か調べているようだ。
女の子は口元を塞いで必死に声を押し殺している。このままだと危ない!
おいらは意を決して、木の上からゆうぜん菊の花弁をばらまいた。一角獣と女の子の頭上にはらはらと花弁が舞い落ちる。
女の子はいち早く異変に気付き、上を見上げた。
(早く…!今の内に逃げて!)
おいらはジェスチャーで意思を伝えた。けれど、女の子はなかなか動いてくれない。
「早くっ!今の内に――!」
思わず声を張り上げたその時、おいらはバランスを崩して枝から落ちてしまった。

(つづく)

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12:53
一角獣を追え! 〜反撃編〜(後記)
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「うっ…うわあ!」
なんとか受け身をとり、無事に地面へ着地する。ふさふさときめ細かな手触りを肌に感じて安堵した。
「助かった……」
しかしそう思ったのもつかの間、おいらが着地したのは地面ではなく、なんと一角獣の顔の上だった。金色の瞳と目が合い、思わず背筋が凍る。
「こ…こんにちは。今日はいい天気だね……」
とりあえず挨拶をしてみた。
すると、一角獣が甲高い雄叫びを上げて暴れ出した。顔を上下左右に激しく振っておいらを振り落とそうとする。
「早く!逃げてっ!!」
おいらは女の子に向かって叫んだ。とりあえず一角獣が女の子の傍から離れたのはいいけど、今度はおいらの命が危ない。
「うわあ!」
あまりにも激しい動きに、おいらはとうとう振り落とされてしまった。間髪入れず、一角獣が鋭い角を向けてくる。
「もうダメだ!」
自分の死を覚悟したその時、背後からメルクリウスが現れて一角獣の角を掴んだ。

(記入者:ルシュティル)

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