◇SOS団・SS
□青い薔薇
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先日、涼宮ハルヒより送られた薔薇の花も終わりを告げ、その後は花瓶も使われることはなく、いつもの煩雑な部室内の風景となった。
『青い薔薇』
と言う本を見つけた。
読んでみると、バイオテクノロジーにより青い薔薇が誕生するまでの話だった。
高度な技術と偶然の掛け合わせにより生まれた青い薔薇。
人がそれを見たいと願い、努力を重ねて作り上げられた薔薇。
宇宙の意思に進化の可能性を探るために。と作り上げられたヒューマノイドインターフェース。
あるはずの無いものが作り上げられたこと。
可能性として近しい存在と思い、私は青い薔薇に少し親近感を覚えた。
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「青い薔薇ですか?」
「そう」
「僕もノンフィクションは割と好きなので読みましたよ」
「貴方も?」
長門さんがいつもより1ミリほど驚いた表情で僕に問いかけます。
「ええ。サイエンスノンフィクションとしては読み応えありましたね」
「…青い薔薇は少し私に近しい」
「え?」
「あるはずの無いものが望まれ造られた。私も薔薇も」
「…長門さん」
「私も薔薇も存在する可能性は0に近かった」
―偶然の産物。
長門さんは目を伏せて、そう呟きました。
「…青い薔薇の花言葉、ご存知ですか?」
「花言葉?」
「ええ。青い薔薇の意味です」
「意味?」
「それはですね、」
人差し指を口に当て、彼女の目を見て答えます。
「奇跡」
「…」
「貴女が存在することは、そういうことなのだと僕は思いますよ」
そして出会えたことも。