◇SOS団・SS
□プラネタリウム
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…冬の南東の空に目立つ3つの星座の明るい星を結ぶと大きな三角形ができます……これを冬の大三角形と言います…
…オリオン座 α星 ベテルギウス……
少しノイズの混じったアナウンスが流れる中、天井には冬の星空が写し出されています。
隣に座る長門さんは、回る星空をじっと見つめています。
僕と長門さんは、今、プラネタリウムに一緒に来ています。
事の発端は森さんでした。
「はい」
「?何ですか」
「プラネタリウムのチケット。知り合いの地学専攻者がくれたのよ」
「…僕にくださるんですか?」
「あたし、そういうロマンチックな趣味ないから。あんた好きでしょ?こういうの」
「ええまあ…どちらかと言えば好きです」
「…なら良かったわ。せっかくだから、誰か、好きなコとでも楽しんでらっしゃい」
「…は、はぁ」
「あ、お返しは五倍から受け付けるからね♪」
……ぼられたような気もしましたが、せっかくいただいたチケットを無駄にするのももったいないので、先週、長門さんをお誘いしたのでした。
〜回想〜
「よろしかったらご一緒しませんか?」
「何?」
「プラネタリウムのチケットです」
「プラネタリウム?」
「…小さい星空…とでも言いましょうか」
「…星空」
「いかがですか?興味をそそられませんか?」
「そそられる」
「では」
「"ご一緒"する」
回想終了〜
隣の長門さんの表情を見ていると、彼女を連れてきてよかったなあと自然に顔が綻びそうになります。
僕自身も懐かしい気持ちになります。
始めて発見できた星は、確かオリオン座でしたね。
ベルトの三ツ星を見つけた時は嬉しかったものです。