◇SOS団・SS

□幸福論 typeβ(素敵イラスト付…椛様より)
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「こンの!バカイツキ!!」

「も、申し訳ありません、母上様…」

「まー、あれだな。無事で何よりだ。…ハルヒーヌ、そんなに腹をたてるな」

「もうっ!貴方が甘いからイツキがいくつになってもヘラヘラしたぼっちゃんのままなのよっ!仮にも一国の王子なんだから自覚を持ちなさいってーの」


僕を前にしてまくしたてる彼女はこの城の女王であり所謂、僕の母上に当たる女性です。
黄色いリボンの髪飾りが黒髪によく映えています。
その姿はいまだ色褪せておらず、黙っていれば十代の姫でも通るような瑞々しさです。

隣で、母上に比べると温厚そう…(或いは気だるげ)な雰囲気を醸し鬚をなでている男性が、この城の王であり僕の父上に当たる…というわけです。

ちなみに父上の名前は歴代王の中でもたいそうユニークな響きを持っています。
が、それに触れられることを彼はあまり好まないので、ここでは割愛します。


「本当に、軽はずみなことをして申し訳ありませんでした」

「…そうね。お舟でパーリィなんてのは悪かないけど、そろそろしっかり地に足つけてもらわなくちゃ困るわね。ね、キョ・ン」

「……その名前で俺を呼ぶな!」


…割愛した意味もないまま、母上が父上を呼び捨てにしました。

これは彼らなりの愛情表現だと僕は思っています。


「そう、でねイツキ!」


急に母上が瞳をキラキラと輝かせました。
父上曰く「シャンデリアが百個あるような」笑みを浮かべます。
たいそう眩しく美しいのですが(息子の僕が言うのも何ですが)正直、こういうスマイルの母上は何を言い出すのかがわからないのです!


「あんたも16になったワケだし」

「ちょっ!ハルヒ…ーヌっ!まだそれはっ」

「いいじゃない。どうせ、隠したってしょーがないし、」


二人の微笑ましい?やりとりを見ながら、何となく僕は胸騒ぎを覚えていました。


「な…んでしょうか?母上」


「あんた、結婚しなさい!」


け……
結婚ーーっ!?




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