短編小説

□愛の結晶
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ここ2、3日何だか熱っぽい。それに眩暈もする。
「風邪ひいたかな。」
食欲もないし、気だるいし。まぁ風邪ならそのうち治るだろ。
体調が悪いなんて古泉に言ったら奴は卒倒しかねない。
ま、出来るだけ食って、冷えないようにして、早く寝てすぐ治せばいい。
深く考えずに俺はぼんやりとテレビを見ていた。

いつも通りの家事をして、古泉の帰りに合わせて夕食を作ってた時だった。
熱とともに立ち昇る匂いに気分が悪くなり、思わずトイレに行って吐いてしまった。
ヤバい、結構具合悪いな俺。どうしよう、もうすこしで料理は完成するんだがどうにも作る気になれない。そんな体に鞭打ってとりあえず料理を終わらせ古泉の帰りを待つ。
明日あたり、医者に行ってみるかな。
そんなことを思いながら俺はソファに横になって、いつのまにか眠ってしまった。

「…さん、起きてください、キョンさん!」
「ん、あ、一樹、ごめん、俺寝ちまって、」
「どうなさったんですか、熱があるじゃないですか、体調が悪いですか?」
捲し立てるように質問され、俺は返事をするタイミングがつかめなかった。
ばたばたと俺に毛布をかけ氷枕を用意する古泉。
ただの風邪なんだけどなぁ。
「待っていてください、すぐに医者に連れて行きますから。」
という古泉を捕まえて、
「俺、ちょっと風邪気味なだけだから。」
と、何とかそれだけ伝えた。
「…症状は?」
「んー、微熱と眩暈、あと吐き気が少し?」
「………」
何だか考え込んでいるようだ。
あのときか?いや、その次か。なんて一人でブツブツ言ってる古泉。何のことだ?
「…キョンさん、その、せ、生理が最後に来たのはいつですか?」
は?こいつ何聞いて…あ。
「だいぶ前…?」
「明日一番で産婦人科に行きましょう。」
「うん。」
俺達の子供が居るかと思うと、なんの面白みもない俺の腹も何だか愛しく思えてくるのは俺も古泉も同じようで。
ふたりで暫く俺の腹をなで続けるのだった。





妊娠ネタっていいよなぁ(´ω`*)

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