短編小説

□君との距離
1ページ/2ページ



一姫は、スキンシップが激しい。
そのスキンシップにいちいちドキドキするようになったのはいつからだろうか。
「キョンさん。」
「っ!?」
耳元で囁かれびっくりして振り向くと、いつもの整った顔。
ドキン、と胸が高鳴る。
「か、顔が近いっ!」
多分赤くなったであろう頬を誤魔化すためにそっぽを向く。
だから、一姫が悲しげに俯いたことに気がつかなかった。

その日から、一姫のスキンシップがなくなった。
何でだ?私が何かしたか?思い当たることは特にない、と思う。
冷たく接してたとは思うけど、それでも一姫は変わらずスキンシップを続けてたし…。
近いとか触るなとか言っといて実際にそうされると傷つくなんて私は最低だな。
「キョンさん?貴女の番ですよ?」
そう言われて我に返ると、目の前にさっきよりも白の多くなったオセロ。
「あ、あぁ、ゴメン。」
「貴女がぼんやりするなんて珍しいですね。何か悩みでも?」
「あの、さ。今日帰り少し寄り道していかないか?」
とっさに口が動いた。
「?いいですけど…」
一姫は私を不審そうに見てる。突然過ぎたか。それに、私は一姫と二人きりになってどうするつもりだ?
…どうしよう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ