短編小説

□雪の散歩道
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はぁ、とため息をつくのは帰る前の習慣。
『明日はゆっくり会えますね。』
ふとそんな声が蘇る。そんな声ももう聞けないなんてこと、解りきったことなのに今更涙がにじむ。いつまで待っても来ないことなんか解りきったことなのに。
降り出した雪を今日ばかりは恨めしく思う。雨ならこの涙も誤魔化せるのに。
乱暴に目元を袖で拭い歩き出す。
「ま、待ってください、」
こんなときに声をかけられるなんてついてない、しかもあいつによく似た声で…
「キョン君、ですよね?」
振り向くと古泉にそっくりな何かが見えて俺の思考はストップした。
「…あの」
気まずそうな声に、現実に引き戻される。
そいつが俺のあだ名を呼んだことも気に掛けず、俺の脳はそいつを古泉に限りなく近い何かと判断した。
「どうしました?」
うん、知らない人に声をかけられた時の反応としてはまずまずだ。
「…覚えていますか、僕のことを。」
忘れるわけないじゃないか何で俺がここに通ってると思ってんだバカ、なんて言葉のかわりに俺の両目からはぼろぼろと涙がこぼれていた。
「本当にすいませんでした。」
切なげな声も、こいつの匂いもぬくもりも、懐かしいようなつい昨日も感じたような。俺の頭はどうにかなっちまったのかもしれない。
「もう絶対に離しません。」
言った古泉の声は震えた涙声で、それでも世界一格好よく、愛しく聞こえたのだった。





ありがちなネタかと思いきやキョンが乙女すぎたwww
そしてタイトルにもある雪の存在感がなさすぎたw
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