短編小説

□ネガティブラバー
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俺なんかでいいの?
貴方がいいんです。

これでもう何回目だろう、彼といわゆる『恋人』同士になってから早3ヶ月、時々思い出したように繰り返されるやり取り。
わざとらしく大げさにため息をついてみせる。
「はぁ。」
「…っ、」
彼が息を飲み身体をこわばらせるのがわかった。
彼は今僕に抱きついて(抱きつく、というよりはしがみつくと言った方が正しいかもしれない)背中に顔を埋めているけれど、どんな顔でどんなことを考えているのかは大体分かる。
きっと今にも泣きそうな顔で『どうしよう、どうしよう、今度こそ古泉に嫌われた!』なんて思っているんだろう。
僕が彼を嫌うはずなんて万が一にも億が一にもあるはずがないのに。
そっと、しがみつく彼の手を外すと、不安になるのだろうか、いつだって彼は泣き出してしまう。
なるべく急いで彼の方に向き直り、いつも通り彼の頬を伝う一筋の涙をぬぐい彼を僕の胸に収める。
「こ、いず、みぃ…」
しゃくりあげながら切なそうに僕の名を呼ぶ彼の声の破壊力を、彼は知らないのだろう。
「僕はキョン君が好きですよ。」
できるだけ丁寧に、頭をなでながらささやくと、彼は僕の胸に顔を押し付けてくるのだった。

ネガティブラバー

そんな彼に僕は溺れていく、なんて。





泣き虫はイイ(・∀・)←

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