短編小説

□雪の散歩道
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天気予報のお姉さんが、雪が降るなんていってたな。
『僕達、別れましょう』
アイツがこう言った日も、夜中に雪が降ったよなぁ。
そうだな、なんて強がって言った俺は若かった。
眠れずに窓の外を見ると雪が降ってて、儚いなんて思った。雪のことなのか俺たちのことか、あん時も今もわかんねぇけど。
そっから3日位して、長門から電話が来た。
高校卒業してからだから半年ぶりくらいなのに、アイツはやっぱり変わらずに、あなたに話がある、とか言ったか。
要約すると、ハルヒの力は消えて、長門も朝比奈さんも…古泉も、役目を終えて元いた場所に帰ると。俺は一応関係者だから、とも言ってたな。
長門は俺たちの関係に気づいてたのかも知れない。
まぁ俺を気遣う声もあんまり頭に入らなかったわけだが。
ただ、古泉は俺が嫌になったわけではないのかもしれないということだけが救いで、それからほぼ毎日、馬鹿みたいにこの公園のこのベンチに通いつめた。
あいつに告白され、あいつに別れを告げられた、このベンチに。
来るわけもないあいつを待ち続けて、いつの間にか20代も半ば。
我ながら少女漫画の読みすぎだと呆れるくらいだ。
そりゃ最初は古泉の告げた最後の言葉を嫌でも思い出して辛かったけど、ここ数年はまだ古泉の声を覚えてるということに安堵するくらいだ。
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