短編小説

□MEGANE
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メール送信ボタンをクリックし、ふぅ、と溜め息をついてメガネを外すと待ってましたとばかりに寄ってきてメガネをいじりだす彼。
「お前、目わるかったのな。」
「えぇ、まぁ。」
彼といられる時間まで機関の書類作成だなんて、ついてない。
疲れた体をソファに沈めて彼を見ると
「お疲れ、古泉。」
と頭をなでられる。
「すみません、折角一緒に居られる時間でしたのに。」
「別にお前のせいじゃないだろ。大変だな、機関ってやつは。」
彼に労われると機関の仕事も悪くないなんて思えてしまうから不思議だ。
「もうこんな時間です、お家までお送りしますね。」
緩めていたネクタイを直し立ち上がると、彼は僕を無理やりソファに座らせた。
「今日はいいよ、疲れてんだろ。早く風呂入って寝ろよ。」


送ると言い張る僕を言いくるめて、彼は今しがた帰って行った。
もう少し一緒に居たかったという気持ちと、彼の気遣いがうれしいという気持ちが混ざり合って彼への愛しさがこみ上げる。
今からでも追いかけて送って行こうか、いや、彼の気遣いを今日はありがたく受け取っておこう。そう思って何気なくメガネをかけると、レンズの隅が汚れていた。
外してみるとそれは彼の指紋だった。
本来不快に思うレンズの汚れも、彼のものだと思うとぬぐいがたくて。
「キョン君、」
それが消えないようにそっと指でなぞると、心がほっと温まった気がした。





めーがね!
お家ではメガ古泉だといいなあという妄想(・∀・)

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