12星座達の日常

孤高のボクスター
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─神奈川県横浜市金沢区




首都高速湾岸線。




“走り屋の聖地”と呼ばれてるこの場所では、夕陽をバックに一台のスポーツカーが宛もなく走っていた。

そのスポーツカーは銀色に光り輝く名車“PORSCHE BOXSTER”。
ポルシェである。

そしてこのポルシェを運転してるのが星麗学園の数学教師で、いて座の馬佳部早矢である。




彼はまるで自分自身を探すかのように、何処へ行くでもなく、ただただこの首都高を真っ直ぐ走り続けていた。

夕陽に当てられ、早矢のかけてるサングラスがオレンジ色に光る。

何台もの普通車や大型自動車、二輪車などを次々と避けながら風のように走っていく。
屋根のないポルシェに乗る早矢の茶色く長い髪が、サラサラと風に流れていた。




しばらくして首都高を抜けた早矢は、洋風の大きな城の前にポルシェを停めた。

辺りはすっかり薄暗くなっていた。

早矢はポルシェから出ると、サングラスを外してそれを白いワイシャツの胸ポケットにしまい、城の玄関の前に立ってインターホンを押した。




ピンポーン




するとインターホンの音に気づいたのか、元気よく「はーい」と返事をする若い女性の声が聞こえる。
そしてパタパタと軽快な足音が近くなると、大きな扉がガチャリと音をたてて開いた。
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